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『インテリジェンス 武器なき戦争』(手嶋龍一 佐藤優 共著) [読書]

幻冬舎が新書を出したというコトを新聞広告で知り、早速書店に行ってみた。幻冬舎は“売れる本”に徹底して拘る出版社という印象があって、あまり好きじゃないのだけど、新しい分野に進出するというコトで、どれほど斬新な新書が出来たのか少し期待するところもあった。新書の棚とは別に特別のコーナーが設けられていて、十数人の作家の本が平積みになっていたまでは良かったが、さすがに第一弾から冒険するワケにもいかなかったのか、今回はそれなりの作家を集めてそれなりの本を作ったようで、ちょっと残念だった。あれこれ手にとって40分程チラチラ読んでみたのだけどやはりシックリくる本がなくて、結局一冊だけ買うことにした。

『ウルトラ・ダラー』を書いた手嶋龍一と『国家の罠』の佐藤優の対談ということで、スパイマニアの妄想対談という感も否めないが、安倍内閣が日本版NSC(国家安全保障会議)の創設に着手したり、防衛庁の格上げが可決されたり、或いはロシアの政権に反目する人々が続々と不審な死を遂げるというニュースが話題になっている中、暇つぶしには丁度良いかなという感じで読んでいる。

大言壮語飛び交うページをめくっていると、昔、テレビで佐々淳行と元左翼活動家が対談していたのを思い出す。そこで元活動家が佐々に「あんたら(警察)みたいな組織の人間は、相手も組織だと勝手に思い込んで捜査するだろ?だから俺達を捕まえられなかったんだ。アジトに潜伏し続けるバカはいない、豆腐屋の二階とかに隠れてるワケ。勿論豆腐屋のオヤジは活動には一切関係ない気のいいおっさんで、甥子の友達が家賃払えなくて下宿を追い出されたとか聞けば3,4日くらいは泊めてくれる。」と言っていて妙に納得させられたワケ。
何も、外交や国家的な指針の方向性を変えるような陰謀が豆腐屋の二階で企てられていると云いたいわけじゃない。彼らの言う“インテリジェンス”という後付的な視座が世界情勢を語るに相応しいかちょっと疑わしい気がするというだけのこと。『インテリジェンス ~』の対談はタネを小出しに明しながら進める手品みたいな感じがしてならないのだ。手品はどこまでいっても手品でしかないし、豆腐屋の二階で繰り広げられる議論はどれだけ壮大であったとしても、豆腐屋の二階で結論付けられる定めから逃れられない。

読み終わらない内に本の感想を書くというのもどうかという気はするが、とりあえず“その程度の本なんだから”と言い訳してみる。


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